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パルナ書房

京の表は壬生、裏に回れば島原の町の本屋~2013年4月でパルナ書房は閉店いたしました。

文化通信にて京都の月刊情報誌Leafの特集記事を書きました。

昨年の「青幻舎」に続き、今年は雑誌の「月刊情報誌Leaf」について書いてみました。

発行元:リーフ・パブリケーションズ http://www.leafkyoto.net/

 

そのテーマは

「脱広告収入時代の雑誌ビジネスモデル」

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まずは記事のリード文をご覧ください。

雑誌の販売不振が止まらない出版業界にあって、

京都の月刊情報誌『Leaf』は、地元書店の間で他誌を圧倒する「お化け雑誌」として知られている。

しかし、リーマン・ショックで広告収入が半減すると、

発行元のリーフ・パブリケーションズは経営の危機に直面した。  

一方、観光都市京都では観光客が激増している。

『Leaf』編集部には京都のあらゆる街の情報がある。

それをイベントや観光事業に転換することで見事にV字回復を果たした。

「脱広告収入」時代の情報誌の可能性と同社の経営戦略を取材した。

 

実は日本の出版を支えてきたのは書籍ではなく雑誌でした。

 

戦後一貫して日本では雑誌の販売金額が書籍よりも大きかったのはご存じでしょうか?

出版業界が一番売上の良かった1996年の数字を見ますと

書籍1兆931億円に対し雑誌1兆5632億円と、

なんと1.5倍も雑誌の方が販売金額が多いのです。

インターネットが普及して久しい2013年の数字を見ても

書籍7851億円に対し雑誌8972億円とまだ14%も雑誌の方が多いのです。

ここにはコンビニエンスストアの数字も入りますので書店だけの数字ではありませんが

しかしこの数字を見れば、

書籍の不振だけでは出版不況を語ることができないことがわかります。

マスコミによる報道はどうも書籍ばかりに偏っているように思います。

実際には雑誌が売れなくて困っているのです。

 

出版社の中には「ウチは雑誌は扱っていないから関係ないよ」

という向きもあるかもしれませんがそれは書店サイドから見ると違います。

特に町の本屋さんや郊外型の書店は雑誌やコミックスが売れてくれるからその余力で、

店頭に置いてみないことには売れるかどうかわからない書籍を仕入れて販売することができたのです。

 

町の本屋さんなど店頭売上の半分が雑誌であったりします。

町の本屋さんは「雑誌屋さん」という方が適当かもしれません。

これは以前から何度も指摘しておりますね。

 

また出版社業界の問屋である取次も雑誌で利益が出たから

書籍の委託販売価格維持制度を担うことができたのです。

雑誌が売れなくなると取次はこの委託販売制度を維持が厳しくなり、

書籍は買い切りに移行せざるを得なくなるかもしれません。

そうなると書店には確実に売れる本、いわゆるベストセラーしかない・・・

なんてことになる可能性も・・・

 

委託販売制度に関しては青幻舎の紹介の中でも少し触れましたが、

その功罪にはいろんな意見があるにせよ、

出版業界の成長期においては雑誌・コミックスから難解な人文書や専門書まで

多様な出版物の発行と販売に貢献したことは間違いありません。

よって雑誌販売不振の問題は出版不況を語る上で避けては通れないテーマです。

 

そこで雑誌の抱える「販売収入と広告収入」という収益構造の問題と

それを解決して増収増益のV字回復を果たした京都の月刊情報誌Leaf

雑誌の可能性について取材してみたわけです。

 

雑誌の現在の状況と基本的な仕組みについて少し触れますね

雑誌は戦後の経済成長と情報化社会を背景に爆発的に成長を遂げたのですが

95年をピークに販売は減少に転じます。

特に2000年以降はインターネットの普及で販売不振に拍車がかかり大きく売上を落とすことになりました。

特に情報系の雑誌はインターネットの影響を強く受けました。

時刻表などはその典型的なジャンルですね。

パソコン雑誌などもWindows95が発売されてから大きく成長したのですが、

2000年以降、インターネットが本格的にブロードバンド化すると途端に萎んでしまいました。

雑誌は今、その存在意義を問われている状況にあります。

 

一方、雑誌の収益構造に目を向けると、

大きく分けて「販売収入と広告収入」で成り立っています。

「販売収入」とは文字通り雑誌の販売による収入ですが、

書店で販売された金額がすぐに出版社に入るわけではありません。

書店からの返品分が差し引きされて入金されるまでタイムラグが相当にあると言われています。

(出版社と取次会社の契約によって異なります)

かつては前述の通り雑誌販売は好調で、

本の雑誌は「販売収入」の比重が大きかったと言われています。

もう一方の「広告収入」は雑誌の誌面に広告を載せた企業が直接、出版社に広告料を払うので、すぐに現金が入ってきます。(広告代理店を通さない場合)

また、特集記事の内容や季節によって売上が変動する「販売金額」とは違い

「広告収入」は営業マンの努力で毎月の収入が安定しますから、

これが大きいと雑誌の刊行も楽になるはずだったのですが・・・

この広告収入もリーマンショックで大きく落とし、

雑誌はいわば「収入の両輪」が半減しているのが現状です。

もはやそのビジネスモデルは破綻しているのか・・・

 

Leafはそんな下り坂にあった96年に創刊し、

2000年以降に売上を大きく伸ばした希有な雑誌です。

売上のピークはなんと完全にインターネットが普及した07年~08年!

当時は「お化け雑誌」とも呼ばれていました。

 

さすがのLeafリーマンショックでは瀬戸際に立たされることになるのですが・・・

ところがそのLeaf編集部が集めた情報を活かすことでV字回復を果たした成功事例を紹介しております。

そもそもどうして2000年以降に売上を伸ばすことができたのか?

V字回復の裏側で実は日本の産業構造の転換があった等、

昨今話題になっている訪日外国人急増の影響など盛り込んでおります。

 

書籍も雑誌も出版ビジネスは曲がり角にあるのですが、

青幻舎とLeafを取材してみると、まだまだ可能性があることを発見し希望がわいてきますね。

両者とも「東京に一極集中した出版業界」の中では

いわば地方である京都から新しい動きが出てきたことに注目です。