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パルナ書房

京の表は壬生、裏に回れば島原の町の本屋~2013年4月でパルナ書房は閉店いたしました。

漢文の素養〜加藤徹

漢文の素養 加藤徹 | 光文社新書 | 光文社

かつて漢文は、東アジアのエスペラントであり、
漢文で筆談すれば中国人も韓国人もベトナム人も意思の疎通ができた
また語彙や文法が安定しているため1000年単位の年月にも左右されない。
漢文を読むと言うことは数千年に及ぶ人類の集積知に自由にアクセスできると言うことである。
それは日本人の教養の大動脈であった。
以上本書から抜粋、引用

漢文は西洋ではラテン語、インドでは梵語、中東では古典アラビア語にあたるものとか。
古代、飛鳥から現代まで漢字にたいして日本人がいかに接してきたか、
日本語そして日本文化、政治にどんな影響を与えたか
各時代の有名人の漢文にまつわる逸話が散りばめられています。
有名な聖徳太子の国書〜隋の煬帝を怒らせた「日出ところの天子〜」
長屋王の四句の漢文に日本渡海を決意した鑑真
漢詩に残る阿倍仲麻呂李白の交遊
紫式部清少納言を罵倒した話など・・・

特に面白かったのは
南北朝時代の懐良(かねなが)親王の逸話
明の初代皇帝洪武帝が、日本に
「服属しなければ遠征軍を送る」と脅した国書送りますが
懐良親王が痛快な名文で見事なしっぺ返し!
私の中では懐良親王といえば九州に追いつめられた劣勢な南朝の人程度のの弱いイメージだったのですが、
巨大な明の皇帝にたいして堂々とやり込める様は胸が熱くなりました。
新書を読んで熱くなることは滅多にないのでこれは貴重です。

漢文の主流は古代は貴族、中世は僧侶でした
江戸時代に入り武士階級に移り、漢文ブームが起こります。
出版業が発展、清や朝鮮からどん欲に漢籍を輸入
清の国家機密である「実録」まで堂々と販売するありさま
さらに武士から町民、百姓、ヤクザまでも漢文を学び始め
この中流実務階級の広がりが日本近代化の成功の理由
といのが著者加藤徹氏の論旨です。
その西周福沢諭吉のような知識人が新漢語「科学」「自由」「共和国」をつくり、
なんと現代中国の語彙の実に60%〜70%が日本でできた漢語とか。

漢文の本なのに面白くて、ドンドン読んでしまいます、
これは日本の歴史と日本語の本でもあるんですね。
特に古代日本人が言霊思想に揺れながら漢字とどう接したかなど
世界の古代文明にもふれながら詳しい説明
古代史好きにもたまらない一冊です。
これを読んだらぜひ

漢文力|文庫|中央公論新社
著者加藤徹氏の「漢文力」
に挑戦してください。
私も今のんびり読んでいるところです。
他にも中国の歴史について書いた新書があり
これも面白いのです。
   加藤徹
チェックしておいてください。
なお加藤徹氏の経歴はご本人のWEBサイトにてご参照してください。