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パルナ書房

京の表は壬生、裏に回れば島原の町の本屋~2013年4月でパルナ書房は閉店いたしました。

本屋はサイコー!〜店長

最近眼精疲労が酷く、読書が辛くなりました。
これはもしかして老眼のはじまりだったりして・・・
恐いので追求するのはやめにしよう。

毎年2月に書店、出版社、取次(問屋のこと)業界三者が集まる大きな会合があります。
今年はその会合で往来堂の初代店長の安藤哲也氏が講演されます。

前回の出版クラッシュに引き続き安藤氏の著書をご紹介します。

「本屋はサイコー!」安藤哲也 新潮OH!文庫
実は以前にも読んだのですが、去年絶版になったこともありスタッフリレーには登場しませんでした。

発行は2001年の12月、「出版クラッシュ」の1年後です。
出版業界の売上げが3年連続とか4年連続で落とした時代です。

大学卒業後、数社の出版営業を経て、離婚の慰謝料を払うため30歳にして
時給500円で土日だけの14坪の本屋のアルバイトをはじめた安藤君。
レジで本を読みながら持ち前のアイデアで本を売る喜びを知る。
一年後には店長に就任。
2年で売上げ倍増。
培ったノウハウを生かして千駄木で町の本屋「往来堂」をプロデュース。
「文脈棚」の生まれた経緯。
町の本屋の復権とは?金太郎飴書店への疑問。
最後まで理解してもらえなかった取次との確執の生々しいやりとり。
やがて往来堂のとのわかれ、BK1への衝撃的な転身への顛末。

さて、往来堂をご存のかたはどれくらいいらっしゃるのでしょうか?
書店業界のなかでも知らない人は結構多いのですが、
実は20坪の小さな下町の本屋さんです。
そして20坪とは(最近は坪ではイメージできな人が多いのですが)パルナと同じ大きさなのです。
さらに忘れてはならない往来堂の特徴である「文脈棚」

例えば離婚関連のコーナ。
一般書店なら無味乾燥な実用書のコーナに棚差し。精々女性誌の片隅に置く程度。
大きな本屋では女性学のとなりか。
でも往来堂なら
まずは「離婚手続きの法律書」 でも離婚するには経済的自立が重要→「主婦でも取れる資格ガイド」といったイメージです。

気になったところ。
取次に本を仕入れに行くシーンが出てきます。
年配の書店主が新刊コミックスを仕入れるために行列に並び、おしいただくようにして頭を下げて受け取る。まさに戦後の食料配給。惨めな本屋の立場
実はこれ全く同じ風景がパルナにもありました。
自転車で行ける距離に京都の取次支店があり、パートのおばちゃんに頭を下げて伝票を切っていただく。ちょっと他のコミックを抜こうかなとしたら怒鳴りつけられたりして・・・

また、売上げが他店の二倍近い実績を上げながら、取次に認めてもらえず、ただ高い返品率のみを指摘される。
これもパルナでもありました。
同世代の担当者に「返品率下がらないのなら送品減らしましょうか!」と脅されましたね。

6時には店を出て毎日のように出版社と飲みに行く。
アダルト、コミックは置かない。
このあたり、もう町の本屋とは言えないのではと思ったりもします。
町の本屋は朝から晩までオヤジがしかめっ面をしてレジにいるものです。
レジの横に小さなテレビがあったりして。
20坪で店長がいなくても店が回るのは・・・
町の本屋のメインは娯楽、雑誌、アダルトとコミックは欠かせません。
むしろ安藤哲也ならアダルトをどんな風に展開していくのかみてみたいです。
もっとも、「だったらおまえがやってみろよ」と安藤さんにしかられそうです。
あと、複数の書店人から「往来堂」が成立するのは東京だからという声も聞きます。
これはやっかみではなく、往来堂て発想に近い実績のある書店人ほどそういいます。
確かに「往来堂」が地方都市で可能だったかは気になるところです。
前回の「出版クラッシュ」に詳しいです。参照してください。

とはいえ、この本はとっても楽しいです。
安藤君は思い立ったアイデアをドンドン実践、売り上げもドンドンアップ!
菊地君の本屋さんもワクワクさせてくれますが、雑貨を扱っているために敷居が高い。
「本屋はサイコー!」なら同じ町の本屋なのですぐにでも実践できてしまいそうな気になります。

安藤氏はプロローグに
この本はできれば「就職本コーナ」に置いて欲しいと書いてますが、
冗談ではありません、この本を読んだが学生が道を誤って本屋に就職をしたらどうするの!!
新潮がこの本を絶版にしたのは正解です。

大変危険な書です。

もう夜中の3時、明日は安藤氏の講演会、早く寝ることにします。

そうえいば「街の本屋はねむらない」って本もあったな・・・