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パルナ書房

京の表は壬生、裏に回れば島原の町の本屋~2013年4月でパルナ書房は閉店いたしました。

出版クラッシュ 〜店長

あけましておめでとうございます って遅いわ!

正月は何故か体調が優れず、昼まで寝て、読みかけてやめた何年もたった「白い巨塔」を読了しました。
後半は裁判のやり取りのため内容が重複しいささか退屈でした。
私の場合、財前五郎田宮二郎です。

その後、伊坂孝太郎の「ラッシュライフ
半分ぐらいに圧縮したほうがなんて言うと伊坂ファンに怒られるかな?
しかし、伊坂孝太郎が売れる理由がなんとなくわかりました。
バックグラウンドにある真っ当な道徳、倫理観のようなものがファンを安心させるのかなと。


さて、2月に京都で出版業界の大きな会合があります。
そこで東京は千駄木にあるカリスマ書店「往来堂」の初代店長安藤哲也氏が講演されるので、
その著書を読みました。

「出版クラッシュ」編書房 2000/8発行

全編、三人の鼎談です。
安藤哲也 往来堂初代店長
小田光雄 「出版社と書店はいかにして消えていくのか」
永江 朗 フリーライター「菊地君の本屋さん」

要約すれば
「書店バブルが崩壊し出版業界そのものがご破算になる」ということか

7年前の出版業界事情ですが、とても面白く一気に読んでしまいました。

以下、気になるキーワードの抜粋です。

京都書院の倒産
駸々堂の自己破産

書店は全国で21000軒(2000年当時) 一方で文芸書の初刷部数は3000〜5000部、一部ずつ書店に配本しても4件から7件にしか行き渡らない。オーバーストアの証拠。
それにもかかわらず新刊発行点数の増大
新刊発行に走る出版社、新刊ベストセラーしか売れない金太郎飴書店
日本の書店のほとんどは雑誌店

書店バブルの原因
新刊発行点数の増大とオーダーリースによる容易な出店

駅前商店街の書店の壊滅〜郊外型、他店舗化以外の選択肢はあったのか?
しかしその郊外型書店は採算がとれているのか?

本当に大型店は利益が出ていないのか  永江氏がしつこく追求する
出ていないのであれば何故出店するのか? 
「出版社と書店はいかにして消えていくのか」

2000/2朝日新聞の記事 
「日販赤字90億」の上に「トーメン2000億借金棒引き要求」 ちっぽけな業界


書籍配本のあるべき姿、業界三者書店、取次、出版社の出版流通システムのあり方。
取次が物流、金融、情報の占有
そこに読者不在

再販制 委託制の功罪

雑誌に関しては上手くいっている。

雑誌書店と書籍書店をわけろ。

書店経営者のビジョンのなさ。

読者も消費者化、
出版文化をだめにしたのは読者でもある。

再販委託の撤廃をしなければ出版業界の崩壊は食い止められない。

以上

さて、京都の皆さんには駸々堂の突然の廃業はショックだったのではないでしょうか?
私は知っています。あの当時、日販3階の闇に駸々堂の在庫が山のようにあったことを・・・

それにしても本書で三人が主張した書店バブルの崩壊はいつくるのでしょうか?
2000年以降も京都では大型店が何軒もできましたがいっこうに崩壊する様子はありません。

少しここ20年ほどの世の中の動向 バブル景気から2000年までの流れをまとめてみます。

85年プラザ合意
86年12月から91年5月バブル景気
90年10月株価暴落
93年景気低迷の実感
95年阪神大震災
96年パルナ書房店長就任 この年より業界始まっていたいの対前年比マイナス成長が始まる(>_<)
97年の山一證券倒産
99年 書店業界3年連続赤字

書店業界はもともと不況知らずと言われきました。
オイルショック、さらにバブル崩壊の時でさえマイナス成長をしなかったそうです。
しかし!私がこの業界に入った途端マイナス成長が始まり、以後現在まで10年連続マイナス。お見事!

内容について概ね共感できることばかりなのですが私の私感を少し。

本書の三人が訴えているような往来堂のような新刊ベストセラーに頼らない本屋は
人口密度の極端に高い東京だから可能だったのではないか。
地方の駅前商店街の書店の壊滅やがそれを物語っている。
地方において書店のみならず商店街自体が壊滅したのは
20年前モータリゼーションの到来という世の中全体の流れの中で起こった現象であり
取次占有、大手書店占有、再販委託制の弊害、金太郎飴書店、といった出版業界の中だけの問題ではない。
よって零細書店の壊滅はいずれにせよ避けられなかったように思います。

また零細出版社の書籍は大手書店が売り、零細書店ほど大手出版社の書籍の販売シェアが大きいクロス現象。
これはパルナ書房においても同じです。
良書を仕入れても見向きもされない。
また、読者の消費者化は売れっ子作家の文芸書を仕入れても
文庫になるまで待つお客様の動きからも実感できます。

取次から出版業界にたいするグランドデザインが見えてきません。
取次役員が言うのはいつも必要な書籍をを必要な分だけ適性配本・・・
版元や書店が経営できる収益構造の提案がない。

三人の意見に共感できなかったこともあります。
雑誌と書籍を一緒に売ることは悪いことなのでしょうか?
雑誌も児童書もエロも一緒に扱っているのが日本の町の本屋の良さではないのか?
アメリカでは書店では雑誌を置かずドラッグストアで雑誌を販売しています。欧米か!
けれども日本にも江戸時代からの偉大な出版文化があったはずです。
そこでは春画のようなものも出回っていたのでは・・・

ではこんな悲惨な業界でどうして零細出版社と零細書店は頑張るのでしょう。
本書の終わりの方にあるドイツ映画監督の言葉があります。
「それ以外にどんな仕事をしたらようものか、わからないからですよ、本当に」
                    そして麻薬中毒で死んだとか・・・

さてこの「出版クラッシュ」実は絶版商品です。
したがって手に入れるためにインターネットのアマゾンで古書として手に入れるました。
希少本にもかかわらず、検索すれば即座に在庫のある古書店表示、注文後3日で入荷。
しかも金額は送料を入れても定価の三分の一。その便利さにビックリ。
正直いってパルナで発注するより簡単。
しかも検索のついでに書店関連書が一覧表示、これが的確な情報でした。
単純なキーワード検索ではこちらが求める書店関連本はなかなか引っかからない物なのですが
購入者情報に基づいて案内表示しているようです。
アマゾンの驚異的な仕組みに畏怖しました。これをweb2.0的ビジネスというのでしょうか?

しかし、こんなにネットサービスが便利になり、一駅で大型書店に行ける時代になったというのに
その一方で、ここ数年パルナ店頭でのお客様からの書籍注文のご依頼が非常に増えているのはどういうことでしょう。
このあたりに生き残りのキーワードがあるのかもしれません・・・