パルナ書房

京の表は壬生、裏に回れば島原の町の本屋~2013年4月でパルナ書房は閉店いたしました。

今年、考えたこと 〜店長

スタッフリレーを更新することなく年越しを迎えることになりました。

今年起こった出来事と考えさせられたこと、もろもろのご報告を致します。

10月14日に祇園書房さんが閉店されました。
実質的に祇園書房さんを運営されていた書店員のTさん、Kさんとは大変親しくしてさせていただいておりました。
実はお二人と仲良くするきっかけとなったのは去年のリーブル銀閣寺U氏の閉店残念会でした。
まさかこんなことになるとは皮肉です。

祇園書房さんの閉店がショックだったのは、町の本屋再生のモデル店的存在だったからです。
もともとたばこ屋さんが雑誌スタンドおいたところから始まったと聞いています。
事情あって、10年ほど前よりプロの書店員が運営することとなり、
京都本と料理本に力を入れて特色を出し、魅力ある存在意義の高いお店となりました。
その実績はある京都の出版社営業マンによると自社本販売額がナショナルチェーンJ堂をダントツに引き離して全国一位だったそうです。
地元出版社の本を30坪の小さな地元書店が大手チェーン店よりたくさん売る。
理想的な出版社と書店の関係がそこにありました。
町の本屋の小さな希望のような存在でした。

閉店事情についてはここではふれません。
本を売っても利益が出ない出版業界の構造的問題が根本にあります。
つまりこれからも閉店する本屋があるということです。
それは町の本屋のみならず、大手チェーンでもおこるであろうとおもいます。

最近閉店される書店がみな特色あるお店であり、他に代えがたい優秀なプロの書店員がこの業界から去るのは書店業界のみならず出版界の損失であると考えます。

新刊に頼る出版社
ベストセラーに頼る書店
商品回転率しか見えない取次
新刊が売れるか売れないかは5対5。
ベストセラーは生まれてもロングセラーは生まれない。
そして利益率はいつまで経っても上がらず、薄利多売。その多売が維持できなくなり閉店。

本を売る面白さを忘れ、本を売る力が衰え、書店員はアルバイトばかり。
パートタイマーでは書店人は育ちません。
それでもこの業界に生きようとする人は世捨て人のような生活を覚悟することになります。
結婚せず、家を持たず、体力が衰え老いてゆく。
情報化社会の中、溢れる新刊を徐々にさばききれなくなり使い捨てにされていく。
本来は書誌情報の蓄積が年を経るごとに活かされ、深みのある棚が売上げに貢献するはずですが、
新刊に頼る構造ではノウハウより資本力が有効となります。

ライターの永井朗氏は出版座談会の中で書店への就職を「よせよせ」と仰っておられます。
「菊地君の本屋」を書いた人です。
この本を読んでこの業界に入った人はどうしたらよいのでしょう。

と書いてると年末の忘年会で京都駅近くの全国チェーンの書店員と知り合いました。
新卒採用、書店経験三年目、大変優秀な人です。
パルナの書棚も学生時代よりチェック済みで驚きました。
自店にこもらず他店との交流も積極的な将来性のある人材ですが、
このような方が契約社員という立場で採用されています。
どうして最初から正社員で雇わないのでしょうか。
3年契約のため来年で契約が切れることになりますが、こんな雇用状態で人材を流出させて企業は発展するのでしょうか。経営者の見識を疑います。
繰り返しになりますが、それもこれも利益のでない書店経営の収益構造に問題があるのだと考えております。

さて後ろ向きな話ばかりを書きましたが、
新しい出会いもたくさんありました。
長岡京にあるB店、左京区にカリスマ書店がありそこの系列です。
ここのM店長、O嬢、W君三人の優秀で若いスタッフが独自の書店の方向性を探っています。
3年前から知り合いの北山のA書店T店長
若く優秀な人材がこんなに惨憺たる業界に存在していることは一つの希望です。
私も彼らからたくさんの棚作りのサジェスチョン、書店運営を学びました。
また祇園書房のTさんは本と関わりのある新しい方向を自ら開拓されることとなりました。
来年が楽しみです。

そろそろパルナも商売のやり方の方向性を変えねばと思案しながら
今年の締めとさせていただきます。

来年もよろしくお願いいたします。

店長