パルナ書房

京の表は壬生、裏に回れば島原の町の本屋~2013年4月でパルナ書房は閉店いたしました。

書店本、その一 〜店長

先日、取次(業界用語で問屋)の支店長がパルナに立ち寄られて開口一番
「サイト更新してないね」と指摘されました。
会えば話はするがパルナに立ち寄られることはない人なので、
まさかサイトをチェックしておられるとは知りませんでした。
誰が見ているかわかりません、怖いですね。

そこでちょっと一般には知られていないが書店人なら知っているという本をご紹介したいと思います。
いわゆる業界本、書店人向けに出版された本です。
以前スタッフの戸田が紹介した「物語りのある本屋」もその一つです。
また私も昨年5月に〜最近の書店事情〜にて「菊池君の本屋」を紹介しました。
どちらもアルメディアという書店関連本を出している版元(業界用語で出版社)の出版。
「菊池君の本屋」はヴィレッジヴァンガードの創立時代を永江朗がオーナの菊池敬一さんの語り風にして書き下ろした本です。
ヴィレッジヴァンガード本店の写真がふんだんに載っており、当時の雰囲気が伝わってくる私が最も好きな業界本です。
初版は94年、バブル崩壊後も「書店業界に不況なし」とうたわれたよき時代です。
残念ながらこの頃私はまだこの業界に籍を置いておりません。
ちなみにこの本の帯のキャッチコピーは
「本屋には夢も希望もあるのだ」

ヴィレッジヴァンガードで休日を」
97年に菊池敬一氏が自ら書き下ろし、絶版になった後、昨年末に新風舎から文庫で発行されました。
95年から96年にかけて業界紙に掲載されたエッセイをまとめた物です。
ヴィレッジヴァンガードが世に認められ直営店をドンドン出店し、フランチャイズ化する直前の時代です。
私はこの本の存在を知らず昨年文庫を読みました。
まず分厚い、内容が濃い、読み応え十分です。
POPの添削から店長採用試験などVVファンにはたまらないでしょう。
菊地君がフランチャイズ化、それで良いのか?と悩んでいるところが興味深い。
菊地式帳簿の付け方、書店と図書館の関係に対する見識など、共感することしきり。
菊地君の本屋に対する思いがビンビンと伝わってきます。
 
 「ヴィレッジヴァンガードの理念」
が二度にわたって紹介されています。

 良い本屋より楽しい本屋を
 金太郎飴のアンチテーゼ
 新刊、ベストセラーの呪縛からの解放
 本は売れるものではなく売るものである
 本に対して健全な知識を持っている書店経営者は、利益を上げられる
 本と本に関わる全ての事務を愛そう

最後の理念は二度繰り返し紹介されています。
実は書店業界の経営上の問題点を考える上で大変重要なことです。
次回のスタッフリレーでお話ししていくつもりです。

第2章には「本屋の明るいお悩み相談室」
明るく回答されていますが、よく読むと書店業界の厳しい現状がかいま見えてきます。
エッセイが掲載された95年は阪神淡路大震災が起こった年です。
私がこの業界に入った年であり、書店業界の右肩下がりが始まった年でもあります。
そして本が発行された97、98年は3年連続売上げ前年割れを記録し、経営悪化が深刻化してきた年です。
一般書店の売上げ低迷とヴィレッジヴァンガードの快進撃の対照が鮮明になった年です。
こちらのキャッチコピーは
「創業以来、売上記録連続更新中!」

それにしても、菊地君の文章は捻りがききすぎて少々読みにくい。
その文体に団塊の世代を感じさせます。

しばらく業界本をご紹介していきたいと思います。
お付き合い下さいませ。