パルナ書房

京の表は壬生、裏に回れば島原の町の本屋~2013年4月でパルナ書房は閉店いたしました。

町の往来の移り変わりとパルナ書房

前回公開した文化通信「20坪の戦略」は2009年6月発行です。
この時期からパルナ書房の売上はマイナス成長に転換しました。
その背景には壬生島原の町並みの大きな変化がありました。

元々丹波口周辺の五条通り界隈は市内を唯一走る広い国道9号線もあって、
いわゆる観光都市京都のイメージとは違い何も無い閑散とした寂しい町並みでした。
私の記憶では80年代前半は巨大なガスタンクがあるだけで、
後は古い平屋の日本家屋が延々と軒を連ねていたように思います。
本当は奥に京都中央卸市場があるのですが、高い壁があってその存在には気がつきませんでした。
それが80年代後半のバブル時代に投資目的で平屋がマンションに変わり
丹波口駅前に人の往来が生まれ、商いをしやすい町に変わったのです。
パルナ書房が開店したのは86年でした。

前にもご紹介しましたが
当時のパルナ書房は朝から市場のお兄さんたちが来店され
本屋なのに魚臭い不思議なお店でしたが大変繁盛しておりました〜パルナ書房も市場もです。
夕方からは大阪ガスベンチャー企業体の京都リサーチパーク(KRP)のサラリーマンで賑わっておりました。
またパルナ書房以外のお店は丹波口駅から東南側に集中し五条壬生川には複数の喫茶店がありました。
この喫茶店もランチ時には席が取れないほどの賑わいでした。
この頃は丹波口駅の東側がこの町の往来の中心であったように思います。

一方で駅西側には大阪ガスKRPがあるだけで一般のお店は皆無です。
土日になるとまるでゴーストタウンのような有様でした。

それが大きく変わるのは2005年あたりからでしょうか・・・
まず五条通の拡張工事が始まります。
そして道路拡張後に丹波口西側に回転寿司、ユニクロスターバックスといった今流行のチェーン店が進出すると
人の流れ、往来といったものが駅の東から西へと移りました。
また巨大なスーパーストアもそれまで商業施設がなかった北側地域に出店し
北と西に人が流れるという90年代では考えられなかった状況が生まれました。

時を同じくして京都中央卸市場も衰退していきます。
巨大流通チェーン(大手スーパー等)が中央卸市場を利用しないからだそうです。

丹波口駅も初めは京都中央卸市場とその周辺住民の利用者が多かったのではと想像しますが、
KRPができた90年あたりになると駅の利用者のほとんどがKRPのある西へと流れている実態が既にありました。
町の往来は駅の東側、西側はサラリーマンの移動があるだけといった感じでしょうか。
それがユニクロスターバックスの登場で町の中心自体が西側に移った感があります。
スターバックスなどは「この町にこんなに若者がいたのか!」と思わせる繁盛ぶりです。
又聞きですが、リサーチパークスターバックスは日本で一番繁盛しているお店だとか・・・

そのように町の往来の中心が移ってしまうと、パルナ書房も閑散としてきました。
そして新しい町の中心に流行の大型書店が登場してパルナ書房はその役割を終えることになったのです。

店は町と共生の関係にあるということです。

次回から社会状況の変化とパルナ書房の変遷を重ねて考察していきます。
実はパルナ書房の閉店の裏側には小売業全般に共通するものがあるのです。

パルナ書房、閉店の考察〜出版業界紙「文化通信」寄稿後編〜2009年

2004年2月に売上が好調時の50%に
廃業か新規出店、あるいは業種転換・・・
いずれも決断できずにいたところ取次担当者i氏に
「店長、この店は雑誌とコミックしか売れていないよ、書籍を返品してコミック中心の棚構成にしたら?
在庫減らそうよ資金繰りも楽になるしさ、そしたらコミックは僕が責任を持って送品させるから」
と標準語で提案される。
雑誌、コミック、そして新刊文庫の店に割り切ることにした。

少々やけくそな気分もあってその日のうちに一気に返品、ガランと空いた書籍棚・・・
コミックが送品されるまでどうしたものかと思案していると
学生アルバイトの一人が当時流行っていた大人絵本を飾りたいと提案してきた。
彼女は紺の布を棚に張り、「エロール・ル・カイン」や「エドワード・ゴーリ」を面出しにして
コピー用紙に黒マジック一本でゴシック調のPOPをサラリと書いた。
そこはだけはまるでセレクトショップのような雰囲気だ。
私も版元別あいうえお順を廃し”女流エッセー””日本語””裏社会””警察小説”など
テーマ、ジャンル別にさらに書籍も雑誌も混在の棚にした。
お客様の反応も上々で
「この作家のコーナー作ってよ」といったうれしい声も出てくる。

担当i氏もしばらくこのままにして数字を見ましょうよと言い出し、
北山の優里菜書店を紹介してくれた。
店長の小西氏(現レティシア書房店長)は単なるジャンル分けではなく
「西村京太郎と内田康夫ファンはこちら!!」
といったお客様の嗜好性を捉えた棚作りをされていた。
衝撃を受けた!
その後、名店からセレクトショップまでドンドン他店チェックを始めた。
様々なジャンル、陳列手法を発見するなかで
異なる店に共通の単品銘柄、定番商品があることに気づく、
同じ本でもいろんな提案方法があるということだ。
町の本屋に欠けているのは新刊ベストセラーではなく、
提案型の棚であり、他店チェックという書店業務そのものである。

さて数字だか
2月の半ばから改革を始めて
3月は-6%
4月は-3%
5月は+-0
6月には若干ではあるがプラス成長に転換した

棚作りの中で、歴史の中に全てのテーマを取り込めないかとひらめく
私自身歴史好きということもあり
「娯楽としての歴史コーナ」
日本史、時代小説だけにとどまらず、
古代においては古事記日本書紀といった神話、宗教、
そして平安から中世にかけては王朝文化の中で古典の展開。
万葉集百人一首は文学だけではなく歴史資料としての側面もあり
日本史の古代を語るには中国、朝鮮半島にも触れねばならない。
孔子論語司馬遷史記・・・漢文のコーナにもなる。
農耕、食、芸能、男女関係、文化史美術史、全てにおいて歴史の変遷がある
これまでそれぞれ別々の分野として陳列されていた棚だ。
パルナ書房の20坪という小さなスペースを逆手にとって、
歴史というテーマで括ってしまおう、それぞれのテーマの棚を上下左右に関連
付ければこれはすごいぞ!

もちろん、この構想(妄想か?)は大失敗に終わった。
後に滋賀の本のがんこ堂O部長に
「誰も町の本屋で専門書は買わないわよ」
とごもっともな指摘を受けた
専門書を購入する顧客は最初から必ず在庫がある大書店に行くからだ。
考えてみれば私も学生時代はわざわざ梅田の紀伊国屋に行ってたものだ・・・
その時の返品率などとてもこの紙面には載せられない。

とはいえ、書籍全体の売上は文庫を中心として20%以上あがった。
文庫だけで+50%なんて月もあった。
近くに大型スーパーが出店したこともあり客数が増え
売上全体でも2006年6月昨対+14%、同7月昨対+15%というバブル並みの上昇だ

狙いの歴史書は失敗に終わったが
その中で唯一売れたのが時代小説だった、そこで時代小説を拡大した。
司馬遼太郎池波正太郎藤沢周平の御三家と
そのころから爆発的に売れ出した佐伯泰英鈴木栄治風野真知雄などのいわ
ゆる「書き下ろし時代小説文庫」の二本立てで展開

司馬遼太郎を戦国と幕末に仕分ける
「黒舟来航〜日露戦争、日本近代化50年の軌跡」
これは「坂の上の雲を」のキャッチコピーだ
自店帯を作り背表紙に
「覇王の家」なら”徳川家康
「峠」なら”河井継之助
とだけ書いた。
棚差でも内容がわかるようにするためだ。

ある日年配のお客様に佐伯泰英の「居眠り磐根」の一巻をおすすめしたところ、
後日全巻購入された。
以来、佐伯泰英の「居眠り磐根」「密命」の一巻目を
「だまされたと思って読んでください」
とレジから声をかけることにした。
20坪だからできることだ。
面白いように売れた。
佐伯泰英は100冊以上シリーズがあるので何か一冊読ませることができれば
大変なリピータが生まれることになる。
まさに高齢者のコミックではないか。
ドンドン時代小説の売り場は広がっていく
また、時代小説の最近の売れ筋シリーズは実は双葉社祥伝社といった中堅どころの版元が中心である。
よって事前注文をすれば新刊配本をつけてくれるところが多い。
これは町の本屋にとってはありがたいことである。

その過程で気がついたのは高齢者をターゲットとした棚の重要性と出版業界は
高齢者への配慮、積極的なアプローチが欠けるのではということである。
一例を挙げれば巻数を間違えて買うお客様が複数おられた。
老眼の影響か、どうも背表紙の小さな数字ではわからないようなのだ。
そこで時代小説に限っては巻数を間違えて購入された場合、
「返品交換しますから安心して買ってください」と一言添え、
大きな手書き巻数の帯を作成してとりつけることにした。

半径300メートルの年金をどうやって本屋で落としてもらうか、
この少子高齢と世界恐慌のダブルパンチの中、一番おいしいところのはずだが・・・

顧客対象を高齢化していくと書店の風景も変わってくる

年始の挨拶にご来店されるお客様、飴玉の差入れ、卸市場の花を下さったり
ご自分の時代小説購入ノートを私に見せて買ってない本をチェックさせるお客様

ここにおいて初めてパルナ書房の顧客囲い込みが戦略が機能した。

時代小説の健闘もあって文庫は200804-09平均20%プラスを達成した

振り返ってみるとパルナ書房の戦略、棚作りのきっかけとなったのは
取次担当者のサゼッションによるところが大きいことがわかる
昨年雑誌配本をめぐって取次雑誌部ともめた事があった
土曜日の昼下がりわざわざ支店長S氏が雑誌一冊のために来店された。
その時の一言が今も忘れられない
「もっと取次をうまく使ってください」

取次ぎは批判するより活用せよだ!

それでもマンネリは始まる
今年に入って急速な売上低迷
そして競合店の出店のうわさ・・・

今までの棚作りを一新することに決めた
売る棚と魅せる棚、セオリーをもう一度洗いなおせ!
勇気を持って新しい棚変えに挑戦したい。

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以上
この後のパルナ書房についてはまた次の機会にお話しします。

2013-11-19 パルナ書房、閉店の考察〜2009年出版業界紙「文化通信」寄稿前編

閉店より半年以上が経ちました。
その後、書店から離れていち消費者として振り返ったとき
「なぜパルナ書房は閉店するに至ったのか」が段々と見えてきました。
その町の本屋の「閉店の考察」について語ってみたいと思います。

まずはパルナ書房と3代目の店長として私が行ってきたことの沿革から。

2009年の6月に出版業界紙「文化通信」https://www.bunkanews.jp/
に寄稿、連載された文章がありますので
少々長くなりますがそれに代えさせていただきます。
なお、寄稿したのは4年前ですので文中にある年数も異なります。
あらかじめご承知おきください。

以下前編

                                                                                                                                        • -

20坪の戦略

私の考えたこと、実践したこと、

終戦直後の京都で創業。86年に二代目の父がパルナ書房をJR丹波口駅前に出店した。
売場20坪の内、12坪を新刊書店、8坪をレンタルコミックスとした複合店であった。
96年私が三代目店長に就任した。
幕末に新撰組が活躍した町、壬生、島原で先代が本屋を創業し23年。
近くには中央卸売市場ベンチャー企業集合体の京都リサーチパーク(略称KRP)があり、新旧の混在した町。

山陰本線JR丹波口駅の駅前立地20坪で児童書から成人誌まで揃えた典型的な家族経営の町の本屋で、
10年ほど前までは市場のお客さんで朝から魚の生臭いにおいがする不思議な店。

私は1996年、先代の急逝から当店を引継ぎ13年になる。
もともと他業界におり、出版流通の常識、慣例には戸惑うばかり。
書籍配本システムも知らず取次と版元とよくもめた。
仕入れは取次支店に毎日日参、パートのおばさんに頭を下げてコミックをもらう、
ご機嫌を損ねるとそのおばさんはなかなか伝票を切ってくれないのだ。
なんともみじめな光景だった。

95年までのレンタルコミックス複合店時代の粗利益率は30%、
当時、最先端の複合店の数字を達成していたが、
近所にブックオフが進出したことでレンタルコミックスに陰りが見えてきた。
先代店長は素早く手を打ち書店専業に切り替えを計画。
私が店長になって3ヵ月後に先代が計画、段取りをしていた取次主導のリニュ
ーアル計画にのって店舗全面改装とPOSレジを導入した。
既刊本は取次POSマニュアルにしたがってABCランク順に揃える…
ということを知った。
その効果は絶大で3年間は売上がプラス成長、20坪で1000万に届こうかと…
素人店長としては乗出し順調、しかしなんかおかしくないですか?
取次の支店店売に通い始めた頃、先代と仲の良かった書店仲間が
「なんも心配せんでええよ、本屋って誰でもできるさかいに、
雑誌並べて後は新刊コミックだけわけてもらったらやっていけるし…」
あたたかい言葉をかけて頂いたわけだが、複雑な気分であった。

昔も今も取次の配本システムは批判の的となっているが、
今にして思えば、むしろ取次の配本システムが完成されすぎているがゆえに問題なのではないかと、
だから書店側にプロのノウハウが蓄積されず他業種の参入を簡単に招いたのでは?
そしてその取次頼みの書店経営が97年からのマイナス成長への対応に遅れる原因となったのでは?

売上は絶好調だったが常に漠然とした不安をかかえていた。
ABCランク順に並んだ、いわゆる金太郎飴、近所に大型店が出店しDEFGまで揃えたら終わりでは?
自分の店の棚に魅力を感じないから、出版社との交流会で挨拶しても
「店に寄ってよ、面白いから」と自信を持って言えない。

4年目(97年)から売上減少が始まる、いろんな手は打った

近所の京都リサーチパークKRP)は新しい商圏であり、客層も中央市場から移りつつあった、
KRPの同世代の経営者と直接交流し「今週の雑誌情報」をメールで配信、受注配達サービスを始めた。
配達する中で、この商圏のニーズを確実に把握し取り込むことが一番の目的だった。
さらに彼らと共同でポイントカードシステムの開発導入。やはり顧客囲込、販売促進が目的だ。

しかし売上は下げ止まらない
当たり前だ、棚をさわる時間よりパソコンを見る時間のほうが長いのだから・・・

そして終に売上半減

後編に続く

パルナ書房の棚

パルナ書房は4月30日をもちまして千本五条、丹波口駅前の店舗から退去いたしました。

最後にパルナ書房のここ10年の棚を振り返ってご紹介したいとおもいます。

棚作りに力を入れ始めたのは2004年年明け
当時のアルバイトスタッフがエドワード・ゴーリーエロール・ル・カインによる大人絵本フェアをしたのが始まりでした。

その他、廃墟をテーマに軍艦島の写真集や別冊太陽フェアなど・・・

2004年秋には
ダイアナ・ウィン・ジョーンズの「魔法使いハウルと火の悪魔」がアニメ化され
お客様から日本の児童文学と海外の児童文学を展開したら面白いよとアドバイスされ
「日本児童文学VS海外児童文学」棚
日本勢は上橋菜穂子あさのあつこいぬいとみこ荻原規子森絵都
海外では指輪物語ゲド戦記、エイラ 地上の旅人、
ハリーポッターの発売時期と重なって非常に好評でした。

ここから調子に乗って
翌年の2005年の棚です。

青幻舎のビジュアル文庫シリーズは私の一番のお気に入りで、特に力の入った棚でした。
このPOPは出版社の青幻舎さんにお譲りして、今でも青幻舎さんは東京や大阪、パリのブックフェアで使っておられるようです。
もう8年!パルナ史上、最も寿命の長いPOPです(笑)

とはいえ、2005年の暮れ頃には私自身が書棚のマンネリ化を感じ始めました。
そんな時に注目したのが歴史関連の棚でした。2006年に入ったばかりの頃です。

当時の思いを出版社宛にこんな風に語っておりました。
歴史の中に全てのテーマを取り込めないかとひらめく
「娯楽としての歴史コーナ」
日本史、時代小説だけにとどまらず、
古代においては古事記日本書紀といった神話、宗教、
そして平安から中世にかけては王朝文化の中で古典の展開。
万葉集百人一首は文学だけではなく歴史資料としての側面もあり
日本史の古代を語るには中国、朝鮮半島にも触れねばならない。
孔子論語司馬遷史記・・・漢文のコーナにもなる。
農耕、食、芸能、男女関係、文化史美術史、全てにおいて歴史の変遷があるし
これまでそれぞれ別々の分野として陳列されていた棚です。
パルナ書房の20坪という小さなスペースを逆手にとって、歴史というテーマで括ってしまおう」
一言で表せば
「森羅万象を歴史で語る」
です。

で作った歴史棚がこれです。
司馬作品を時代別で陳列

宮本常一網野善彦など民俗学

古代は神話、宗教、日本語、漢字、朝鮮半島中国古代史と密接に絡み合い

源氏物語ボーイズラブを取り入れて・・・

そして全体像がこちら

歴史の棚でパルナ書房の方向性が見えてきたので
思い切ってプチリニューアルもしました。

京都本にも力を入れて「京都コーナー」

「らくたび文庫」が創刊したのでコーナーを作ったら
POPコンクールで入賞し「らくたび文庫」さんのご招待でスタッフと一緒に会席料理をいただきました。
 

京都の版元の書籍は特に大き取り上げました。
私のお気に入りが「京都音楽空間」

パルナ書房があった壬生島原は新撰組ゆかりの地です。
新撰組コーナーは力を入れました。
浅田次郎壬生義士伝」の地図はPOP代わりに作成しました。
輪違屋、角屋、壬生寺、とパルナ書房の位置関係がわかるようになっております。
新撰組の小説などを読むときに手元においておくと便利なので写真サイズにプリントしました。
 

歴史の棚は残念ながら専門書が期待していたほどには売れなかったのですが
江戸時代の棚に置いた「佐伯泰英」を代表とする「書下ろし時代小説文庫」が爆発的に売れました。

このあたりから時代小説にシフトし

高田郁先生の「みをつくし料理帖」のPOPコンクールで優勝

昨年、映画が公開された「天地明察」のPOP
このあたりから"やり過ぎ"感が出てきます(笑)

私イチオシの作家、岡田秀文先生「太閤暗殺」

そして、坂岡真先生の「鬼役」

実は一般公開していなかったのですが、官能小説もPOPを書きました。
出版社によると官能小説でPOPを書いたのは前代未聞(笑)とのことで作家川奈まり子先生がご来店されました。
川奈まり子先生「人妻、洗います!」

最後に
閉店まで付き合ってくれたスタッフの廣田の作品をパルナの片隅で常時展示しておりました。
ちなみに官能小説のPOPも廣田作品です。
ご覧ください。

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閉店のお知らせ             〜店長

今回は残念なお知らせです。

4月25日をもってパルナ書房を閉店することになりました。

京都の壬生、島原という新撰組ゆかりの地で 1986年8月開店以来 27年間にわたって町の本屋を営んでまいりました。
皆様の長らくのご愛顧に誠に感謝致します。

パルナ書房は終戦直後の混乱期に先々代が西院六角の長屋で開業し
80年に先代がサラリーマンをしながら家業として継続
一旦、休業後に 85年に京都の吉祥院でパルナ書房の屋号で開店。
86年に現在の JR 丹波口駅前にて開店しました。
当時はわずか20坪の小さな本屋をさらに8坪と12坪に区切り
8坪でコミックスのレンタルを、12坪で新刊書店を併せて営業しておりました。
古くからお客様などは今も時折その頃のお話をされます。
本当によくもまあ、あの小さなスペースでやったものだと関心します。

この辺りは京都のイメージとは異なり
中央市場の町でもありまして、
いなせなお兄さんたちが朝一番で当店をご利用いただいて
本屋なのに魚くさい匂いが漂う独特の風情を醸しだしておりました。

私がパルナ書房に入ったのは阪神大震災のあった95年
翌年に先代が急逝したため引き継ぎました。
店長になった直後の96年に内装をリニューアル
レンタルコミックスを止めて新刊専門の書店になりました。

2004年より書棚の編集に力を入れ始めて
2007年あたりから歴史の棚に注目し
そして特に時代小説に特化してまいりました。

もともとこの界隈は駅前でありながら
一筋離れた東側の五条壬生川に喫茶店や飲食店が複数あったのですが
この頃から大型のスーパーストアが千本五条の西側にできはじめ
人の流れも変わり五条壬生川のお店なども閉めていかれたようです。

そしてどうやらパルナ書房もここでの役割を終えたようです。

重ねて皆様の長らくのご愛顧に感謝致します。

鬼役その二 〜八巻「覚悟」〜 4/11発売のお知らせ          〜店長

〜隠しとどめ〜
斬り捨てた者に敬意を払い
刀の血を拭った懐紙をその者の懐に残す
とどめを刺す代わりに行う武士の作法

前回ご紹介した坂岡真先生の"鬼役"の最新刊「覚悟」が4月11日に発売する運びとなりました。
ついに八巻目です!
なんと今回は出版社の光文社編集部から発売前の原稿を送っていただきました。

冒頭の文章は
八巻「覚悟」に収録されている"隠しとどめ"です。

この原稿があまりに素晴らしい出来だったので、
思わず光文社編集担当M氏に感想をメールで送ってしまいました。
その感動をみなさんにもお伝えしたくメールの文面をアップいたしました(ネタバレになるといけませんので一部割愛しております)。

早速拝読いたしました。

さすが坂岡先生!
鬼役シリーズの暗く乾いた雰囲気を残しつつも、文章のリズムは気持ちいい。
展開のテンポも程よく、最後まで飽きさせません。
表題の「隠しとどめ」には気品があり、結末に余韻を残しますね〜
それにしても「隠しとどめ」、よく見つけてきましたね、
鬼役の流儀との相性が素晴らしいじゃないですか!
本書を読みつつ、朱に染まった懐紙がひらひらと落ちていく様(POP)が浮かんできました。
絵になる小説、見事です。

主人公矢背、串部、土田等それぞれの登場人物の造形、役割分担もしっかりしています。
また、その人物説明も丁寧に書き込んでおられるので八巻から読んでも全く違和感がなく楽しめます。
安心してオススメできる一冊です。
キャッチコピーを
「八巻から読んでも大丈夫!」にしたいくらいですよ!

坂岡先生は既に職人の域に達していますね〜
内容も売上も期待できる、まさに”時代小説のセオリー”を踏んだ作品です。

八巻予約受付中です♪ 左端に見えるのが坂岡真先生のサイン入り色紙です。

既に七巻まで読まれた方は八巻のご予約を!
初めての方は八巻から読んでも大丈夫です。
今のうちに新刊予約をしてくださいね。
売切れても知りませんよ!!

店外ボードにても予約受付中♪

「鬼役」坂岡真の魅力 その一      〜店長

「鬼役」 坂岡真

幕府御膳奉行、矢背蔵人介
養母と妻に頭が上がらぬ中年の貧乏旗本
将軍家毒味役、またの名を「鬼役」
田宮流居合術の使い手
先代より裏の役目を引き継ぐ者

幕政の闇を正す!
腐敗した幕閣、信じる上役の裏切り
正義の行方もわからず
武士の矜持のみが孤高の闘いを支える
その生き様、堪能せよ

「鬼役」POPに私が書いたキャッチコピーです。

昨年から大プッシュしている時代小説「鬼役」シリーズ
昨年4月から7ヶ月連続で発売された書下し時代小説文庫です。

坂岡真先生は「照れ降れ長屋風聞帖」「うぽっぽ同心十手裁き」といった人気シリーズを出している定評のある作家です。
アットホームな人情物のイメージがありますが
今回の「鬼役」は非常にハードな物語に仕上がっています。
冒頭からいきなり問答無用の暗殺シーンです。
斬って斬って斬りまくってちょっと斬り過ぎなんじゃないかといった感じですがそこ
は書下し時代小説の醍醐味というものです。

主人公は将軍家の毒見役矢背蔵人介、うだつのあがらない痩身の貧乏旗本です。
養子ゆえに養母に頭が上がらず、気の強い妻を持て余す。
しかしその別名は「鬼役」、田宮流居合術の使い手でもあります。
毒見役は表の役目、裏の役目は密命による暗殺。
先代より引き継いだ重い宿命をおった武士の物語です。
幕政の闇はどこまでも深く、誰が味方か、何が正しいのか、正義の行方もしれず
ついには密命を下した上役まで斬ることに・・・
その武士の矜持に支えられた孤高の闘い、生き様にハマります。

POPの出来も気に入ったので
光文社発行の小冊子「鉄筆」に
時代小説「鬼役」の魅力と「時代小説販売のセオリー」を寄稿しました。
お客様にも読んでいただけるように店頭に置いております。
お持ち帰り頂けます(フリーペーパーです)。

それが昨年10月
そしたら11月に坂岡真先生がご来店下さり色紙にサインを書いてくださいました!

そして今年4/11、八巻が発売されることに!
次回八巻「覚悟」についてお知らせします〜